その時の安堵感は将来忘れる事が出来ないだろう、その後に続く絶望と共に。
「お前の兄、ラーグリフ=リナースは今、何処に居るんだろうな」
一人、修羅の道を歩む事を選んだ懐かしき人を夢想しつつ、無意識の内に唇が動いた。
「あ、悪い」
サリナはとても暗い顔になっていた。あの時、何故自分を連れて行ってくれなかったのか、延々と彼女が思いつめる事なのだ。
答えは分かりきっている。自分は幼すぎ、力にも成れない事は分かっている。けれども、一言、そう、たった一言を言ってくれればどんなに楽だった事か。
いや、それをすれば、きっとおざなりな気持ちになってしまう、復讐の心を揺らがしてしまう事となるのだ。
だから、彼の旅立ちはとても合理的で、悲しい事だった。
「良いのよ、ザイア、私達はこうして今、旅をしているのだから」
ヤツの手掛かりは殆ど皆無と言って等しい、けれども人は成し遂げなければならないことが多々あるのだ。
「飯、食いに行くか?」
ザイアは鼻の頭を掻きつつ、サリナに言ったのだった。

曰く、其れは魔法、架空要素を材料に、鮮やかな業を持って具現化される魔法。
踊り狂う鍋、火加減は正に熟練され、年月を感じさせる。
鋭い剣戟、人が捕捉出来る領域を超えた光の世界の庖丁捌き、一瞬にして解体され、食材が舞う。
人を精神を狂わす、薫りが食堂を襲撃する、自分の意思とは裏腹に、正しく腹が雄叫びを上げる。
「めちゃくちゃ美味そうな匂いがしてるんだけど、此処って、ゲテモノ料理屋だよな・・・」
店の看板には、上を行く人々のハイソなお店、と掲げられていた筈である。
最も、此処は街では、本来食材であらざるモノを調理し、魅惑させる禁断の店と恐れられている。
自分達以外に客は居ないと言うのに、何等かの気配があると言うのが余計にザイアを不安がらせているのである。
「精神体が居るわね」
料理が待ち遠しい、と乙女チックな顔でキラキラと眼を光らせながら、何事も無い様にサリナは呟いた。
「・・・・・、霊が居るのか?」
「ん、別に霊って訳でも無いわよ、精神体だからと言って必ず害があるって訳じゃないし、そうね、此処に居るのは幽霊に近いモノだけれど」
途端に其れは、身震いを起こす要因となったのは言うまでも無い、幽霊、聖水も無いと言うのに、厄介な敵だ。
「あら、別に幽霊だったら、私の魔術で制圧は容易よ、其れにこの店の常連みたいだから、きっと大丈夫」
常連って何だよ、と思ったが、害が無いと聞き安心したのか、腹が減りすぎて、キリキリと言い出した。

んーと、更新途中?それにしても、前は中途半端に切ったなぁ
なんつーか、改訂二回目ともなると、話の流れが全然変わるな
SS書いてる気分だぜ、いや、本当、何人の人が読んでるか知んないけど
初版と改訂版読んだら分かるけど、王の玉の存在がかなりいい加減で、放置かましてしまってたんだよな、うん
レーウィンが始まったのは二年と三ヵ月前、未だに終わらない、ってどーよ?

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秘

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