アルセイン・シナリオ最終章・上
2005年3月1日 思想アルセイン・シナリオ最終章
序幕 -決意-
ホーエンツォレルン城の隠し通路を通りアルセインは即位後新設された地下室に来ていた。
其処はとても狭く窓が無い為手元の魔術の光が無ければ漆黒で覆いつくしていただろう。
床には陣が構成され中央には本が置かれている。これはアルセインが自らの魔力を封じた魔域である。
戦略用兵器としても使用できるが、其の意思はアルセインには無い。寧ろ陣より中央に置かれているモノが危険である。
ハルマゲドンの魔道書の真典、遺失されたと言われる幻の書物。神々の堕としたとされる其れは危険極まりない。
故にとある塔に封印されていたのであったがどこぞの娘が持ち帰ってしまったのだ。
アルセイン自身、この如何し様の無い魔力に対抗する術も無く手元には偽典を手にしている。
真典とは若干構成が違うだけだがかなりのマイナーダウンが施されている。
そしてアルセインは真典に最後まで手を出すつもりは無い、悪魔で情報の消滅を図るのである。
帝國が誇った軍事的要素が大陸に流失すれば永遠の戦へと歩み始める事となる。
何処の勢力にも力を付けさせない為にも城を溶解させる最終手段である。
アルセインは道化として半生を生きた。其の償いをするべく刻が来たのである。
簡単に負ける気は無い、もしかしたら勝てる可能性すら有る。
アルヴィスと戦を交えた時の様な力さえ出せればであるが。彼奴とは一勝一敗の間柄であった。
其の好敵手の死を知りアルセインは弱体化した。精神の衰弱は魔的なポテンシャルも下げる。
そして、アルセインは道化となる。賭博に溺れ、道楽を繰り返す。まさに遣りたい放題である。
其の長くに渡った沈黙も解凍されし時。
―――――ENDLESS BATTLE
アルデバランの壁画の伝承に有ったと記述された神話の時代の戦。
永遠に続くとされ、神々の滅びた後現在に至る。
帝國の歴史は戦争の歴史。絶対の正義であり絶対の悪である。そして其の歴史も途絶える。
異境生まれの皇帝の手によって・・・・・・。
第一幕 -余暇-
アルセインは本人の意思に関係無く装飾で埋め尽くされた悪趣味な皇室の中で唯一簡素にして素朴な椅子に座り手には銀色の樹の細工が施された懐中時計を弄んでいた。
戦略発動数時間前だと言うのにする事も無く最後の休暇をのんびりと過ごしているのである。
戦力差は語らなくとも敵軍が優勢。負け戦確実である。しかし、其の様な態度を自軍の前で見せられる訳も無くこうして部屋に閉じ篭っているのであった。
先程、アルセインの愛娘、ナルシュが異議を申し立てて来た。私にハルマゲドンの魔道書真典を使わせてくれ、と。
ナルシュならば魔道書の魔力を掌握する事が可能であろう。だがアレだけは使わせる訳にはいかない。
通常時よりタロット・カード以外の魔術の使用を禁止している。魔に魅了されない様に、魔に魅了されたモノは人でなくなる。
其れはアルセインにとって本意では無い。故に説得した。ナルシュは納得しない、と言う顔をしたが渋々と部屋を後にした。
不謹慎にも賭博をしたい、そう思った。苦笑した、其れは幼き頃に最も憎んでいたモノであると言うのに。
国を出奔した時に金に困り仕方なく覚えたのであるが、現在は趣味となっている。
だが今は皇だ、自重しなければならない。最後の最後位、皇でなければ先帝に申し立たないと思ったのだ。
先帝、恐らく神の領域に達する事の出来た最高の武人、神に愛された故にヴァルハラへと招かれた鬼才。
幾度と無く帝國に被害を加えたアルセインを寛大な心を持って受け容れた。
何時か必ず・・・・・倒そうと思っていた。しかし、毒牙を抜かれてしまったのである。
そして帝國に仕えて数年の歳月が過ぎ、先帝死す。其の影響により各地で蜂起が起こる。
帝國の支配は先帝に対す畏怖によって成立っていたのだ。
が、あっけなく其れを迅速に鎮圧、其の功績により異境の没落貴族は皇帝となった。
第二幕 -開戦-
塔の鐘が響き渡る、進撃の刻である。恐らくアルセイン=ナリュセルトとしての最後の戦いである。
軍馬の轟く様な足音が城下の道路を唸らせる。ついに其のベールを脱いだ黄昏の騎士團である。
魔的ポテンシャルが長け、武術に置いても最高、そして戦場にて生き残る事が出来る精鋭のみで部隊された最強の騎士團。
今回は帝國の姫君、ナルシュ=ナリュセルトが長となる。美しく華やかにして機能的な鎧を纏う騎士團。
其れは戦場で目立ち、其れは己の腕に対する誇り。魔術添加により鎧は驚く程軽く魔術障壁も随時展開されている。
故に盾は不要、右手には魔道媒介を持ちて、左手には得物を持ちて、魂には正義と悪を持ちて。
そしてアルセインは王で有るにも関わらず単騎で戦場を駆ける。多寡が雑兵如きに負けるアルセインでは無い。
黄金の魔法衣を着、右手に魔道媒介【偽典・ハルマゲドンの魔道書】を持つ。
永き夢から醒めて・・・・・魔皇となる。
最初の騎影が見える。アルセインは残像も無く生涯で最も早く身体を動かせる。
音速を軽く超え血飛沫も出させず人で有ったであろう物体を破壊した。
竜牙兵と人の混合物体、合成獣、【キメラ】と呼ばれるモノだ。大昔の戦で用いられたと言うおぞましき其れ。
アルセインは困惑する。この様な卑劣にして神の領域を侵食した行為を各国の王が許すはずが無い。
ならば其れ等は何処より現れたのであるか。問いは簡単であった。
己の持つ魔道書の記憶。偽典であるとは言え神々の所持物。マスターの死期を悟りENDLESS BATTLEを見せ付けているのである。
もう二度と放たれてはならない魔獣・・・・・。
色々な雑念が脳裏に過ぎるが其れを吐き捨てアルセインは本来の、真実の敵を見定める為に再度走り出す。
序幕 -決意-
ホーエンツォレルン城の隠し通路を通りアルセインは即位後新設された地下室に来ていた。
其処はとても狭く窓が無い為手元の魔術の光が無ければ漆黒で覆いつくしていただろう。
床には陣が構成され中央には本が置かれている。これはアルセインが自らの魔力を封じた魔域である。
戦略用兵器としても使用できるが、其の意思はアルセインには無い。寧ろ陣より中央に置かれているモノが危険である。
ハルマゲドンの魔道書の真典、遺失されたと言われる幻の書物。神々の堕としたとされる其れは危険極まりない。
故にとある塔に封印されていたのであったがどこぞの娘が持ち帰ってしまったのだ。
アルセイン自身、この如何し様の無い魔力に対抗する術も無く手元には偽典を手にしている。
真典とは若干構成が違うだけだがかなりのマイナーダウンが施されている。
そしてアルセインは真典に最後まで手を出すつもりは無い、悪魔で情報の消滅を図るのである。
帝國が誇った軍事的要素が大陸に流失すれば永遠の戦へと歩み始める事となる。
何処の勢力にも力を付けさせない為にも城を溶解させる最終手段である。
アルセインは道化として半生を生きた。其の償いをするべく刻が来たのである。
簡単に負ける気は無い、もしかしたら勝てる可能性すら有る。
アルヴィスと戦を交えた時の様な力さえ出せればであるが。彼奴とは一勝一敗の間柄であった。
其の好敵手の死を知りアルセインは弱体化した。精神の衰弱は魔的なポテンシャルも下げる。
そして、アルセインは道化となる。賭博に溺れ、道楽を繰り返す。まさに遣りたい放題である。
其の長くに渡った沈黙も解凍されし時。
―――――ENDLESS BATTLE
アルデバランの壁画の伝承に有ったと記述された神話の時代の戦。
永遠に続くとされ、神々の滅びた後現在に至る。
帝國の歴史は戦争の歴史。絶対の正義であり絶対の悪である。そして其の歴史も途絶える。
異境生まれの皇帝の手によって・・・・・・。
第一幕 -余暇-
アルセインは本人の意思に関係無く装飾で埋め尽くされた悪趣味な皇室の中で唯一簡素にして素朴な椅子に座り手には銀色の樹の細工が施された懐中時計を弄んでいた。
戦略発動数時間前だと言うのにする事も無く最後の休暇をのんびりと過ごしているのである。
戦力差は語らなくとも敵軍が優勢。負け戦確実である。しかし、其の様な態度を自軍の前で見せられる訳も無くこうして部屋に閉じ篭っているのであった。
先程、アルセインの愛娘、ナルシュが異議を申し立てて来た。私にハルマゲドンの魔道書真典を使わせてくれ、と。
ナルシュならば魔道書の魔力を掌握する事が可能であろう。だがアレだけは使わせる訳にはいかない。
通常時よりタロット・カード以外の魔術の使用を禁止している。魔に魅了されない様に、魔に魅了されたモノは人でなくなる。
其れはアルセインにとって本意では無い。故に説得した。ナルシュは納得しない、と言う顔をしたが渋々と部屋を後にした。
不謹慎にも賭博をしたい、そう思った。苦笑した、其れは幼き頃に最も憎んでいたモノであると言うのに。
国を出奔した時に金に困り仕方なく覚えたのであるが、現在は趣味となっている。
だが今は皇だ、自重しなければならない。最後の最後位、皇でなければ先帝に申し立たないと思ったのだ。
先帝、恐らく神の領域に達する事の出来た最高の武人、神に愛された故にヴァルハラへと招かれた鬼才。
幾度と無く帝國に被害を加えたアルセインを寛大な心を持って受け容れた。
何時か必ず・・・・・倒そうと思っていた。しかし、毒牙を抜かれてしまったのである。
そして帝國に仕えて数年の歳月が過ぎ、先帝死す。其の影響により各地で蜂起が起こる。
帝國の支配は先帝に対す畏怖によって成立っていたのだ。
が、あっけなく其れを迅速に鎮圧、其の功績により異境の没落貴族は皇帝となった。
第二幕 -開戦-
塔の鐘が響き渡る、進撃の刻である。恐らくアルセイン=ナリュセルトとしての最後の戦いである。
軍馬の轟く様な足音が城下の道路を唸らせる。ついに其のベールを脱いだ黄昏の騎士團である。
魔的ポテンシャルが長け、武術に置いても最高、そして戦場にて生き残る事が出来る精鋭のみで部隊された最強の騎士團。
今回は帝國の姫君、ナルシュ=ナリュセルトが長となる。美しく華やかにして機能的な鎧を纏う騎士團。
其れは戦場で目立ち、其れは己の腕に対する誇り。魔術添加により鎧は驚く程軽く魔術障壁も随時展開されている。
故に盾は不要、右手には魔道媒介を持ちて、左手には得物を持ちて、魂には正義と悪を持ちて。
そしてアルセインは王で有るにも関わらず単騎で戦場を駆ける。多寡が雑兵如きに負けるアルセインでは無い。
黄金の魔法衣を着、右手に魔道媒介【偽典・ハルマゲドンの魔道書】を持つ。
永き夢から醒めて・・・・・魔皇となる。
最初の騎影が見える。アルセインは残像も無く生涯で最も早く身体を動かせる。
音速を軽く超え血飛沫も出させず人で有ったであろう物体を破壊した。
竜牙兵と人の混合物体、合成獣、【キメラ】と呼ばれるモノだ。大昔の戦で用いられたと言うおぞましき其れ。
アルセインは困惑する。この様な卑劣にして神の領域を侵食した行為を各国の王が許すはずが無い。
ならば其れ等は何処より現れたのであるか。問いは簡単であった。
己の持つ魔道書の記憶。偽典であるとは言え神々の所持物。マスターの死期を悟りENDLESS BATTLEを見せ付けているのである。
もう二度と放たれてはならない魔獣・・・・・。
色々な雑念が脳裏に過ぎるが其れを吐き捨てアルセインは本来の、真実の敵を見定める為に再度走り出す。
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