-end of world- 1st season vol.1

何時の間にか俺は存在していた。
神様が創ったんじゃない、父親、母親、そして其れ等の父親、母親、更に・・・・・と続く連鎖の末生まれた。
之が普通の人間だ、しかし、俺は異なっている。
神代の時代、神々に陵辱された一人の少女が居た。
其の血を受け継いだ一人が俺、最も其の血を強く受け継いだ魔術師の家系。
魔術師の証たる紅い眼と髪を染め上げ黒くしているが、溢れんばかりの其の異質な気は隠す事が出来ない。
俺はこの世界に置いて異端だった。
街を忙しそうに歩く人間達と決して交わる事の無い路線に乗ってしまった。
いや、乗ってしまった、ではなく、存在する時既に乗っていた、の方が正しいであろう。
別次元の血は三次元のモノには重すぎた。
子供は奇形、突然変異体、人ならざる存在と化していた。
生れ堕ちた時より歯が生え揃い、髪も生えていた。
異常な程、髪と眼は紅く、本来人に存在しない様な色素であった。
俺は其の末裔の一つ、人外の化物。
数代に渡って発生しなかった異端が俺の代で発生した。
生まれながら自分が何なのか知っていた。
知りたくもなく、こんな形で生まれたくなかった。
そう、何もかも忘れたかった。

リリリリ、リリリリ、リリリリ・・・・・、
部屋中に電子音が鳴り響く、しかし、其れが何なのか分からない。
朝は苦手だ、思考が鈍くなり勝ちである。
それでもって、嫌な夢を観た朝は余計に鈍くなるのだ。
手探りで発信源を探しだす、プラスティックの冷たい感触がし其の突起物を押す。
「朝・・・・・・・・・・・か。」
口の中で欠伸を噛み殺したら眼から涙が滲み出た。
まだ眠い、けれど此処で眠ってしまったら・・・・・負けだ。
パシパシ、っと自らの頬を打つ。
痛みで眠気が微かに消し飛んだ。
一人暮らしの男は再度眠ると言う事は恐ろしい事態を巻き起こしかねない。
嫌な言葉が脳裏に過ぎる、遅刻。
学生にとってかなり嫌なペナルティーの一つである。
之が目立つ様になると体育教師達の巣窟へと足を運ばなければ成らなくなるのだ。
あそこは人界ではなく魔界、筋肉戦車達の蠢く強烈且つ絶対的恐怖の象徴。
たった一回の一対一の話し合いで更生不能な不良をがり勉へと昇華させた。
その様な所で自我を保っていられる人間はよほど神経が太いのか精神構造が違うのか、己の意思が最も強いのかの何れである。
俺にはきっと耐える事が出来ないであろうから、絶対に無遅刻をし様と決めたのである。
直ぐに行動に出る事にした。
トースターに一昨日買ってきた半額セールで賞味期限切れが昨日切れた食パンを突っ込み、其れと並列作業でベーコンエッグを焼き始める。
本の僅かな時間で食パンの焼ける香ばしい匂いが部屋中に漂う。
マヨネーズを塗り付け、良く胡椒を振付けられたベーコンエッグを乗せ、口に運ぶ。
賞味期限が過ぎているものの味は変わっておらず程々にイケた。
そんでもって歯を磨き洗顔をする、着替えは何時もの所に掛けてあり少しくしゃくしゃに成り掛けている学ランに袖を通す。
之で準備万端である、時間にまだまだ余裕が有るしテレビの電源を入れた。
時間が有る朝、決まって見るニュースが映し出された。
すると母校の中学が全焼した、と言う事が報道されていた。
昨晩遅く、サイレンが鳴っていたのはこのせいであったのだと初めて気付いたが、その様な些細な事は気にしない。
特別愛着が有った訳でも無いし、良い思い出が有った訳でも無い。
気を許せる後輩が居た訳でも無い訳であるからだ。
何でも放火であるらしい。
物騒な世の中に成ったものだ、何て俺が考えて良い筈が無いのだがな。
この街に置いて一番物騒なのはきっと俺である事は間違えないからである。
夜であった事が不幸中の幸いで死傷者所か一人の怪我人も出していない様である。
しかしながら、まだ鎮火して間も無くであり捜査も初期段階である為、安心するのは未だ早い。
画面の時間を見ると丁度良い頃合に成っていた為、テレビの電源を消して家を出る事にした。

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秘

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