ネットワーク中毒者達の宴
二十世紀も終わり二一世紀となった今、世界中はネットワークで繋がり情報化社会へと変貌を遂げた。其れに伴ってネットワークに依存する人間も発生し一種の社会現象となっている。そんな時代を生きる一人の少女、菅原栄子、昼は学校に通う普通の高校生、夜は其の筋の人間に最も有名とされるサイトの管理人。彼女は時代を如何生きるのか?電波が飛び交うこの町で・・・・・
File.1
窓のカーテンの隙間より太陽の光が差し込む寒い朝、マンションの一室に電子音が鳴り響く。少女はベッドでモゾモゾと頭の上の方にあるはずの音の発信源を止めようと手を伸ばし手探りで其れを探す。カチッ、とスイッチを押し厚い毛布の中に手をまた戻し安眠を再度貪る。これは無意識化の出来事であり、この後彼女は辛い目に遭う事を予期していなかった。
朝だと言うのに怒号が発せられていた。無論予想通り彼女の母親から放たれているモノだ。彼女は其れに驚き完全に覚醒した。そして何気なく時計を見る。八時三分、頭から血の引く音が聞こえたかの様であった。完全に寝坊である。超音速で着替え、台所にダッシュする。少しでもお腹の中に何かを入れておかないと午前中の授業に支障をきたすからである。夜遅くまでパソコンをやっていた報い・・…と言う訳だ。ご飯と味噌汁を口の中に有りっ丈詰め込み玄関に直行する。母親の怒った声が聞こえるがこの際気にしない。歯と顔を洗えないのと髪をセットしていないのが気がかりではあるが三年間無遅刻無欠席無欠課を目指す彼女の前には其の様な事、乱暴に言えば「屁でもない」事である。
エレベーターのボタンをガシガシ、と押してみるが一番下の階層に居るらしく、ここ七階まで上がってくるには相当時間がかかる様な為、やむなく非常階段を使う事にした。緑色の非常口の電灯が光りコンクリートの空間に栄子の足音が木霊する。息を切らしながらも下に降り駐輪場へ到着した。現在八時十二分、学校の朝の本鈴が鳴るのが八時三十分、学校まで本気で漕いだ場合、十五分で着く。完全にギリギリである。根性を入れる為、歯を食い縛って頬をパンパン、と叩く。そして四の五の言わずMYチャリンコに乗り緊急発進する。そして、時が経つ事数刻。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ。」
私は息を荒らげ学校への坂道を自転車で駆け上っていた。そう、私の通う私立弥永高等学校は入道坂と呼ばれる最悪なトロトロとした只管長い坂道を登りきった所にあるのだ。何でも下の土地より物価が上の土地の方が安かったらしく創設者は通う者の事を考えずハッキリ言ってとっても迷惑な所に学校をおったてたのである。駅から学園までのバスも出ているのではあるが、私の家は私を私立に通わすだけでも倒れそうなので交通費まで出す余裕が有る訳もなく、私は泣き泣きこの長ったらしい道を毎日、毎日、登らなくてはならないのだ。見慣れた、いや、もう見るのも飽きた光景が過ぎ去る中私はせっせと、ペダルを漕ぐ。本当に疲れたのだが、腕時計を見ると針が絶望的な位置を指しているので足を緩める訳にもいかず、逆に加速しなければならなかった。これ以上無いと言う位の勢いで坂を登りきった。校門には私と同じ様に遅刻しそうな生徒達が忙しそうに駆け込んでいる。其の光景はとても滑稽に思えたが、私も傍観者ではなくその状況に置かれた者であり、乱暴に自転車を掛け、何時も忘れそうになるがキチンと鍵を掛ける。校内は土足であり、履き替える必要も見出せない為、駐輪場近くの校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下より突入する。目指すは五階の一番端の教室、歩いていたら辿り着くのに日が暮れる。まずい、そう私は直感し、誰も居ないのを確認して鬼の様な形相で駆け上がる。陸上の記録を軽く凌駕しそうな勢いである。火事場の馬鹿力の様なものかな?と私は思った。ガラガラ、と後ろの扉を開ける。流石に私もしゅう恥心と言うものがありゆったり、と落ち着いて教室に入った。
「栄ちゃん、おはよ〜〜、今日は遅いね〜〜。」
私が入ってきたのに気付いた友達が数人挨拶をしてきた。
「おはよ〜〜、ちょっと寝坊しちゃって。」
其れに対し私は苦笑しながら答える。お恥ずかしい限りで。席へとドスン、と荷物を置く。そしたら前の席の生徒が私に話しかけてきた。
「菅原〜〜。優等生のお前が寝坊か?」
気持ち悪い位ニタニタ顔で朝っぱら私にちょっかいかけてくる、この如何にもスポーツ馬鹿そうな男が山中康介。見た目は、まぁまぁ、女子にも人気がある・・・・・のかな?クラスに一人は居るお笑いキャラの典型。しいて言えば月並みな存在であり、入学式の時出遭って以来何かと私にかまって来る。無論、こいつの言った「優等生」も冗談である。
二十世紀も終わり二一世紀となった今、世界中はネットワークで繋がり情報化社会へと変貌を遂げた。其れに伴ってネットワークに依存する人間も発生し一種の社会現象となっている。そんな時代を生きる一人の少女、菅原栄子、昼は学校に通う普通の高校生、夜は其の筋の人間に最も有名とされるサイトの管理人。彼女は時代を如何生きるのか?電波が飛び交うこの町で・・・・・
File.1
窓のカーテンの隙間より太陽の光が差し込む寒い朝、マンションの一室に電子音が鳴り響く。少女はベッドでモゾモゾと頭の上の方にあるはずの音の発信源を止めようと手を伸ばし手探りで其れを探す。カチッ、とスイッチを押し厚い毛布の中に手をまた戻し安眠を再度貪る。これは無意識化の出来事であり、この後彼女は辛い目に遭う事を予期していなかった。
朝だと言うのに怒号が発せられていた。無論予想通り彼女の母親から放たれているモノだ。彼女は其れに驚き完全に覚醒した。そして何気なく時計を見る。八時三分、頭から血の引く音が聞こえたかの様であった。完全に寝坊である。超音速で着替え、台所にダッシュする。少しでもお腹の中に何かを入れておかないと午前中の授業に支障をきたすからである。夜遅くまでパソコンをやっていた報い・・…と言う訳だ。ご飯と味噌汁を口の中に有りっ丈詰め込み玄関に直行する。母親の怒った声が聞こえるがこの際気にしない。歯と顔を洗えないのと髪をセットしていないのが気がかりではあるが三年間無遅刻無欠席無欠課を目指す彼女の前には其の様な事、乱暴に言えば「屁でもない」事である。
エレベーターのボタンをガシガシ、と押してみるが一番下の階層に居るらしく、ここ七階まで上がってくるには相当時間がかかる様な為、やむなく非常階段を使う事にした。緑色の非常口の電灯が光りコンクリートの空間に栄子の足音が木霊する。息を切らしながらも下に降り駐輪場へ到着した。現在八時十二分、学校の朝の本鈴が鳴るのが八時三十分、学校まで本気で漕いだ場合、十五分で着く。完全にギリギリである。根性を入れる為、歯を食い縛って頬をパンパン、と叩く。そして四の五の言わずMYチャリンコに乗り緊急発進する。そして、時が経つ事数刻。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ。」
私は息を荒らげ学校への坂道を自転車で駆け上っていた。そう、私の通う私立弥永高等学校は入道坂と呼ばれる最悪なトロトロとした只管長い坂道を登りきった所にあるのだ。何でも下の土地より物価が上の土地の方が安かったらしく創設者は通う者の事を考えずハッキリ言ってとっても迷惑な所に学校をおったてたのである。駅から学園までのバスも出ているのではあるが、私の家は私を私立に通わすだけでも倒れそうなので交通費まで出す余裕が有る訳もなく、私は泣き泣きこの長ったらしい道を毎日、毎日、登らなくてはならないのだ。見慣れた、いや、もう見るのも飽きた光景が過ぎ去る中私はせっせと、ペダルを漕ぐ。本当に疲れたのだが、腕時計を見ると針が絶望的な位置を指しているので足を緩める訳にもいかず、逆に加速しなければならなかった。これ以上無いと言う位の勢いで坂を登りきった。校門には私と同じ様に遅刻しそうな生徒達が忙しそうに駆け込んでいる。其の光景はとても滑稽に思えたが、私も傍観者ではなくその状況に置かれた者であり、乱暴に自転車を掛け、何時も忘れそうになるがキチンと鍵を掛ける。校内は土足であり、履き替える必要も見出せない為、駐輪場近くの校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下より突入する。目指すは五階の一番端の教室、歩いていたら辿り着くのに日が暮れる。まずい、そう私は直感し、誰も居ないのを確認して鬼の様な形相で駆け上がる。陸上の記録を軽く凌駕しそうな勢いである。火事場の馬鹿力の様なものかな?と私は思った。ガラガラ、と後ろの扉を開ける。流石に私もしゅう恥心と言うものがありゆったり、と落ち着いて教室に入った。
「栄ちゃん、おはよ〜〜、今日は遅いね〜〜。」
私が入ってきたのに気付いた友達が数人挨拶をしてきた。
「おはよ〜〜、ちょっと寝坊しちゃって。」
其れに対し私は苦笑しながら答える。お恥ずかしい限りで。席へとドスン、と荷物を置く。そしたら前の席の生徒が私に話しかけてきた。
「菅原〜〜。優等生のお前が寝坊か?」
気持ち悪い位ニタニタ顔で朝っぱら私にちょっかいかけてくる、この如何にもスポーツ馬鹿そうな男が山中康介。見た目は、まぁまぁ、女子にも人気がある・・・・・のかな?クラスに一人は居るお笑いキャラの典型。しいて言えば月並みな存在であり、入学式の時出遭って以来何かと私にかまって来る。無論、こいつの言った「優等生」も冗談である。
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